
AP&T のラインソリューションにより、新開発のセルロース繊維素材製の部品の大量生産が可能になりました
スウェーデンのスタートアップ企業 PaperShell が「ウッドメタル」と呼ぶユニークなセルロース繊維の複合材料を開発。この材料は硬く、強く、耐熱性、耐水性に優れており、気候や環境への影響も極めて少ない ‐ これらの特徴がすべて、人工複合材料や金属、一部のプラスチックに代わる極めて興味深い選択肢となっています。PaperShell がターゲットとしている顧客層には、自動車産業、建築家、スポーツ用品メーカー、インテリアデザイン、エレクトロニクスなどがあります。同社は、製造工程の産業化に当たり、2020年、AP&T に連絡しています。
「私たちが AP&T に依頼した理由はたくさんあるが、自動車業界の厳しい要求に応えてきた確かな経験を持つスウェーデンの企業という点が大きい。」と、PaperShell のプロダクションマネージャのフレドリック・ウェスターベリ(Fredrik Westerberg)氏は述べています。
両社の刺激的なコラボレーションが一歩を踏み出したのは、スウェーデン研究所(RISE)が AP&Tの油圧式サーボプレス機を使ってバイオ複合材料の試験成形を行ったときでした。当時、RISE に勤務していたウェスターべり(Westerberg)氏は、AP&T チームとの協力により、バイオ複合材料の大規模生産に向けたラインコンセプトを開発しました。この取り組みは、ウェスターべり(Westerberg)氏は、PaperShell のプロダクションマネージャになったとき、いっそう強化されました。
完全自動、フレキシブル、高いエネルギー効率
PaperShell と AP&T は、新素材固有の特性をベースに、完全自動でフレキシブル、エネルギー効率が高い生産ラインコンセプトを考案。これにより、1つの同じラインを利用して、各種分野に向けさまざまな部品を合理的かつ効率的に製造できるようになりました。
「PaperShell と同社の新素材を本当に信じていた。試験環境からはじめ、産業化へと移行すると同時に、プロセス制御やフレキシブルの課題に取り組む。そこで実現する生産ソリューションに参加することは、実に気がみなぎる瞬間だ。持続可能な部品や製品づくりに今貢献できること、それは持続可能性(サステナビリティ)を実現しようとの思いと合致する。」と、AP&T 事業開発 マネージャのパトリック・はグラント(Patrik Haglund)氏は述べています。
現在、ティブロにある PaperShell の工場では、すでに1つの生産ラインが試験製造のために稼動しています。2024 年度内には、稼働規模が拡大され、さらに多くのラインが稼働をはじめ、生産容量が増加する予定です。
製造工程は完全に自動化されています。原料はロール状の強化紙で、これを「ブランク」に切断し、高温度でプレスして成形します。 ハグラント(Haglund)氏は、熱と圧力と結合剤を組み合わせることで、魔法が生まれるといいます。



中間貯蔵の必要性を最小限にするため、ラベリング、カット、積み重ね、検査はすべて同じラインで行われ、すべてが、最終製品の品質適性を保証するラインの工程監視システムの監視下で行われます。
「設備は、私たちが世界中に納入している最新のラインホットスタンピング機と技術は同レベルだ。これが安定で安全、エネルギー効率が非常に高いプロセスの基礎となる。」と、同氏。
大きな成長の可能性
ラインはモジュラー型式のため、どのようなニーズや要求にもカスタマイズが可能です。この多面性がある素材には、多くのステークホルダーが関心を寄せており、応用が可能と考えられる分野が次から次へと話題に上がっています。これは、世界で成長・活躍する大きな可能性があることを示しています。
「長い協力関係の中で、私たちは、さまざまなお客様を世に出してきた。AP&T は、グローバルに活躍する老舗企業として、PaperShell の事業展開への参加に有利な立場にあると言えるだろう。私個人としても、迅速かつ革新的でプロフェッショナルであるだけでなく、急成長には何が必要かを理解している-そのようなお客様と仕事をするのは楽しく、やりがいがある!」



PaperShell の CEO アンダース・ブライトホルツ(Anders Breitholtz)氏とそのチームも、このコラボレーションを大変喜んでいます。
「AP&T は、さまざまなレベル、特に持続可能性(サステナビリティ)の課題へのインテリジェントな取り組み姿勢では模範となるサプライヤ、そして開発パートナーだ。私たちが抱える課題を伝えると、AP&T は、私たちのエネルギー消費を大幅削減するソリューションをすぐに提示してきた。当社の規模拡大は計画どおり進んでおり、将来どのようなことが可能かをいっしょに考えると、身躍る思いだ。」
2024年3月
PaperShell の概要
- 2021年創業のスウェーデンのスタートアップ企業。
- 気候や環境にほとんど影響を与えない独自のセルロース複合材料の開発者。
- 2024年、B2B 部品の連続製造を開始。